あらすじ
文学・音楽・舞台・装束・面・古文書など、能は一生かかっても極め尽くせない分野が総合された巨大な文化装置である。能研究の第一人者が、「翁」「井筒」「道成寺」など、名作25曲の鑑賞のポイントと楽しみ方を解説。作品の背景を知り、想像力を研ぎすまして、舞台上に繰り広げられる静と動、明と暗、喜びと悲しみを感じとる。世阿弥の時代から現代に届けられるメッセージを読み解く、能がますます楽しくなる能楽鑑賞入門。 第一部 歴史──能のあゆみ 俊頼と芸能──中世芸能の源流 中世芸能の始発 唱導劇の時代 観阿弥から世阿弥へ 「花」から「風」に溶けていく──世阿弥、芸人の生涯 第二部 作品──能のこころ 能は幽玄である 【翁】 翁から能へ 【重衡】 重衡または心の修羅劇 【百万】 奈良山と奈良坂 【逢坂物狂】 逢坂物狂──苦労人の神はやさしかった 【蝉丸】 謎の姫宮〈逆髪〉 【鵺】 鵺と芸能神 【善知鳥】 周縁〈日本〉の悲劇 【西行桜】 西行桜または花鎮めの系譜 【熊野】 都市のメロドラマとしての「熊野」 【東北】 能に描かれた和泉式部 【卒都婆小町】 小町九変──「卒都婆小町」「通小町」 【菊慈童】 銘水「<外字>縣山」の秘密 【鷺】 鷺の文化史 【天鼓】 人間と星は別れて 【融】 レクイエムとしての「融」 【松風】 月夜の浜辺の幻想ロマンス 【井筒】 世阿弥と水鏡と紀貫之 【江口】 「江口」のキリについて 【布留】 剣を持つ女神 【葵上】 青または原初の波長──青女房覚書 【野宮】 プリマヴェーラのように 【道成寺】 火の女とサスペンス空間 第三部 鑑賞──能の鼓動 狂と毒と修羅の世界──〈重衡〉 式子内親王の妄想──〈定家〉 放射する「殺気」──〈明智討〉 真夏の夜の夢の劇場──〈仏原・烏頭〉 あとがき 文庫版あとがき