閑さや岩にしみ入蝉の声ー誰もが知る『おくのほそ道』は、単なる紀行文ではない。五か月にわたる旅を終えた後、芭蕉はその生涯を閉じるまでの五年間、推敲を重ね続けた。旅の全体像が周到に再構成された結果、虚実が相半ばする世界的な文学作品が生まれた。東日本大震災の被災地とも重なる旅の道行きをたどりながら、その思考の痕跡を探る。『おくのほそ道』全文および全旅程図6点を収載!