観光公害 インバウンド4000万人時代の副作用
書籍概要
日本政府は2020年に訪日外国人観光客数4,000万人の誘致を目指している。2018年は約3,200万人、その前年(2017年)は2869万人だった。 こうしたインバウンドの加速度的増加は、旅行者による観光地での消費拡大という“光”をもたらす一方、地元住民とのトラブルや環境破壊などの“影”も生んだ。 これを「観光公害」(オーバーツーリズム)と呼び、すでに社会問題化している。 無遠慮にカメラを向ける“舞妓パパラッチ”が有名な京都に住み、京都の大学で観光学を教える(国内観光地理、観光リソース、観光ビジネスなど)著者は、生活レベルでの観光公害も知る数少ない論者だ。 また、世界遺産マイスターの資格を持つ著者は、京都のみならず日本各地、およびバルセロナやヴェネツィアなど国外の観光地にも足を運び、徹底したフィールドワークで観光公害の実態を提示する。 観光公害の本質的問題とは何か。どうすれば観光公害はなくなるのか。 <b>第一章 変容する千年の古都</b> 押し寄せる外国人観光客に占拠される著名寺院 祇園白川のお花見狂騒曲 すっかり有名になった「市バス」問題 一週間に一軒、どこまで続くホテルの開業ラッシュ 舞妓・芸妓パパラッチ 京都っ子の台所「錦市場」は食べ歩き天国に 京都に宿泊する四人に一人は外国人 <b>第二章 「観光公害」とは何か</b> インターネットが「観光」を変えた 日本政府のインバウンド対策はどうなっているのか 「オーバーツーリズム」の形態ーー“悪者”は観光客だけなのか <b>第三章 日本各地の「オーバーツーリズム」</b> 大阪・ミナミは完全に外国 予約が取れない「ひかり」問題 クルーズ船が寄港しても、地元にお金が落ちないのはなぜ? ゲレンデが外国人で埋まる ホテルは必要? 白川郷 不便なアクセスが「観光公害」を防いでいる小笠原 <b>第四章 「海外の有名観光地」の現実</b> 「観光公害」の代表都市その1 ドゥブロブニク(クロアチア) 「観光公害」の代表都市その2 ヴェネツィア(イタリア) 「観光公害」の代表都市その3 バルセロナ(スペイン) 強力な法律で民泊をコントロール 景観重視で車を排除 <b>第五章 観光公害を解決するには</b> バスの利用で市民と観光客の分離が実現 市民と観光客の分離ーー中国・コロンス島の場合 「江ノ電」の社会実験 導入されるか? ロードプライシング 年々規制を厳しくするマチュピチュ 「観光よりも遺産保護」の動きはヨーロッパでも 世界遺産と引き換えに立ち入り禁止に <b>第六章 誰のための「観光」か</b> 「観光の原点」を考える 「DMO」に託される希望 「交流人口」を重視する時代へ
詳細情報
- ISBN
- 9784396115746
- 出版社
- 祥伝社
- 出版日
- 2019年7月1日
- カテゴリ
- テーマパーク