あらすじ
日本と米国の間にある文化的政治的関係をくぐり抜け、極めて先進的な表現を行った草間彌生。消費と創造への人々の関心を作品の中で両立させた田中敦子。「捺す」という技法によって特殊な作者性を主張した福島秀子。アンフォルメルとアクション・ペインティングが席捲する1950-60年代の日本において、彼女たちはそれらにどう抵抗し、自らの作品を創り上げたかーー。戦後の批評言説を再検証しながら、フェミニズム的概念「アンチ・アクション」を通して、もうひとつの美術史を記述する。サントリー学芸賞受賞作を改訂し、多田美波の実践から「ポスト・アクション」に迫った補論を付して文庫化! はじめにーーフェミニズム美術史に向けて 第1章 「日本戦後美術史」とジェンダー 1 美術とジェンダーーー「日本戦後美術史」とアンフォルメル 2 「アンフォルメル」と戦後の批評 3 「 アンフォルメル旋風」と戦後美術の再ジェンダー化ーー「アンフォルメル」から「アクション・ペインティング」へ 4 日本戦後美術史のジェンダーを問うために 第2章 「アンチ・アクション」に向けてーー戦後美術と女性 1 戦後美術と新人女性 2 「戦前の父」と「戦後の娘」 3 「女らしい」画家からアンフォルメル画家へ 4 批評の再ジェンダー化と戦後社会のなかの女性美術家 5 「アンチ・アクション」--フェミニズム美術史としての批評の可能性 第3章 草間彌生の「インフィニティ・ネット」--政治的に 1 「線」の変遷ーー「アンフォルメル以前」の一つの物語 2 「インフィニティ・ネット」へ 第4章 抽象の方法ーー 田中敦子の「円と線の絵画」と戦後の物質文化 1「具体」と物質 -- 田中の場合 2 田中の「構成」と戦後の物質文化 3 「円と線の絵画」 第5章 福島秀子の「捺す」絵画と人間のイメージ 1 福島秀子の絵画ーー顔と人間 2 顔の思想と戦後抽象絵画 3 捺す絵画と福島の「人」--《ホワイトノイズ》へ 補 論 多田美波の「皺」--「ポスト・アクション」の表現として 1 はじめに 2 途中の前置きーー「アクション」の行末 3 多田美波と素材ーーアクリルとアルミニウムまでの道筋 4 新しい素材と女性の彫刻家 5 環境芸術とライトアートーーポスト・アクションの美術として 6 多田の行為と素材 7 多田美波のリンクル=皺の思想 おわりに 文庫版あとがき