戦後、大衆登山黎明期に、北アルプス最奥部で暮らした人々のさまを活写した『黒部の山賊』(伊藤正一)。このベストセラー山岳名著に登場する愛すべき山人(やまど)、「山賊鬼サ」その人が語る山の民の生活譜。大自然に生きた生活者が披露する、いまや失われた山語り・猟語り、そして自分語り。巻末に解説「山の賢者」(池内紀)を収録。