あらすじ
近年、軍事の分野では無人航空機(いわゆるドローン)の活用が急速に広まっている。第二次ナゴルノ・カラバフ紛争(2020年)では、アゼルバイジャン軍の投入した攻撃型UAVがアルメニアの戦車・火砲を攻撃して大打撃を与えた。そして、2022年に開始されたウクライナ戦争では露宇双方が大規模にFPV小型ドローンを数十万機という規模で投入し、偵察や自爆攻撃に活用している。 いまや知らない人はいないドローンだが、一方で実態を正確に理解できている人は少ない。そもそも「ドローン」といっても、手のひらサイズの小型機から、翼幅40m近い大型長距離型まで幅広く存在し、用途や能力についてもまったく異なる。また誤ったイメージが流布し、「万能の新兵器」のような扱いも見られる。 本書では、専門的な知見を持つ7名の著者が、ドローンに「何ができて、何ができないのか」を明らかにする。また、イラストを豊富に盛り込むことで、軍事の堅いイメージを払拭し、初心者でも手に取りやすい入門書となっている。 第1章 ドローンとは何か 多田将 1.ドローンの分類 用途による分類、航続距離・航続時間による分類、重量・寸法による分類 2.通信と誘導・制御技術 3.機体のエンジンと推進器 4.搭載機器 5.運用 6.自律性 第2章 対ドローン技術の現在と将来 数多久遠 1.ドローンの特徴と監視手段(センサー) レーダー、光学センサー、ライダー、音響センサー 2.迎撃手段 電波妨害、地対空ミサイル、機関砲類(無誘導砲弾)、誘導ロケット弾および誘導砲弾、迎撃ドローン、HPM(高出力マイクロウェーブ)、レーザー、レールガン、機関銃などの小火器 3.まとめ 第3章 FPVドローンが戦場にもたらす変革と課題 永井宏樹 1.FPVドローンとは何か 2.FPVドローンの戦場適応 3.我が国におけるFPVドローン導入についての課題 4.FPVドローン本格的導入への道:政策とドクトリンへの提言 第4章 ドローン戦争の現在地:エコシステムが変える軍事力 末田航 1.オープンソースとデジタルファブリケーションー兵器開発の民主化 2.イノベーションはどこで生まれるかーウクライナとロシアのエコシステム比較 3.攻撃が防御を上回る時代ー迎撃コストの非対称性と新技術の行方 4.民生技術と戦争の距離ーサプライチェーンとデュアルユースの逆説 5.エコシステムが主導する戦争ー技術・政策への長期的示唆 第5章 自律型ドローンは戦時のルールを守れるのか 木村和尊 1.LAWS(自律型致死兵器システム)と国際人道法 2.LAWSは国際人道法を守れるのか 終章 ドローンの実戦運用 薗田浩毅/藤村純佳 1上空の「目」から「暗殺者」へーー対テロ戦争 2世界初の正規軍によるドローン戦争ーー第二次ナゴルノ・カラバフ戦争 3「蜘蛛の巣」作戦の衝撃ーーウクライナ戦争