立山観光ヒストリア アルペンルート以前の観光史
書籍概要
年間100万人に迫る訪問者を迎える北アルプス・立山──世界有数の山岳観光地はいかにして現在の姿となったのか、挫折と成功の観光史をたどる。 平安時代は修験の場であった霊山・立山。江戸時代には藩の宗教政策もあいまって、越中はもとより全国から多くの人びとが禅定登拝に訪れるようになった。 立山一帯では宗教施設の建築が相次ぎ、多くの「名所」が創出される。かつての信仰登山集落、芦峅寺や岩峅寺にも、宿泊・飲食業、荷物運搬・山案内などの諸生業が発達した。立山の観光地形成が進む中で、温泉開発や新道の整備も行われ、女人救済の布橋灌頂会といった宗教的儀式も立ち上がる。 明治時代には、立山新道の開削や温泉経営の試行錯誤が重ねられ、大正時代に至ると水力発電事業により鉄道建設や登山環境の整備などがおこなわれた。立山の観光開発は、昭和中期の戦時下には停滞するも、状況を打破したのは山岳観光ルート建設の構想だった。 戦後、数々の難工事を乗り越え、人や物資の大量輸送が実現。立山黒部アルペンルートが産声をあげる。 本書では、江戸時代の立山の観光収入など、あまり知られてこなかった貴重なデータを収載。 立山の観光史を系統だてて網羅し、一般読者にも専門家にも、うれしい一冊となっている。 ●帯文 立山開山からの逸話を、観光史として考察した貴重な一冊。 あらためて底知れぬ立山の歴史に感動した! 見角 要(立山黒部貫光株式会社 代表取締役社長) 巻頭口絵 プロローグ 日本三霊山・立山はいかにして観光地となったのか 第一章 江戸時代の立山禅定登拝と信仰登山集落 第二章 江戸時代の立山道整備と名所化 第三章 立山禅定登拝の受入体制 第四章 江戸時代の「観光地」立山の収益 第五章 立山温泉の経営と信仰登山集落 第六章 明治維新期の立山信仰登山集落 第七章 日本初の山岳有料道路・立山新道 第八章 大正・昭和時代初期の立山開発 エピローグ 立山黒部アルペンルートの誕生 あとがき 参考文献 著者略歴
詳細情報
- ISBN
- 9784861751295
- 出版社
- 北日本新聞社
- 出版日
- 2025年7月14日
- カテゴリ
- テーマパーク