あらすじ
「声が届かず騒がしい保育室から、子どもの声が自然に響き合う環境へ」 保育現場で子どもが泣いたり部屋から飛び出したりする行動の背景には、「音がつらい」「その部屋の響き方が怖い」といった要因が潜んでいるかもしれません。 本書では、そうした子どもたちにとっての「音の世界」を想像しながら、少しでも居心地のよい環境を整えるための視点をお伝えします。 ●本書のポイント 1 新築園舎であっても音の問題が多い ガラス張りの大きな窓や吹き抜け空間、木をふんだんに使った内装など、視覚的に美しいデザインの園舎は全国に増えています。 ところが、そうした素材の多くは音を反射するため、結果として音が響き過ぎ、子どもの声やおもちゃの音が増幅されてしまうのです。「見た目は素晴らしいのに、なぜか落ち着かない」「なんとなく耳が疲れる」といった現場の声は、まさに音環境の影響を反映しています。 2 解決のポイントは「吸音」にあり 「部屋が響き過ぎる」問題への対策としては、「吸音」することが有効です。「吸音」とは、音を吸い込むのではなく、子どもの大切なつぶやきを聞くために余分な響きを消すことです。まずは、保育室の内装(天井や壁など)に吸音する材料を使うことが大切です。また、大がかりな工事を行わなくても、吸音材を貼ったパーティションやボックスなどで「吸音コーナー」をつくったり、カーテンを「吸音カーテン」に変えるなど比較的簡便な方法もあります。 3 音環境の改善を体験した現場の先生方の声 「騒がしさが低減し、言葉を聞き取りやすくなった」 「吸音した部屋から吸音されていない部屋に戻ると、音が気になって仕方がない」 「音のことをわかるようになると、子どもの苦しみや気持ちがもっとわかるようになりました」 「職員自身も、自分の声が大きいのではないか、とか、色々な気付きが得られました」 「保育の助けになると思います」 上記の先生のコメントにもあるように、一度、音のことを意識するようになると、いろいろな所の「音環境」が気になるようになります。人は、新しい「見方」や「視点」を手に入れると、これまで気にならなかったことが突然気になりだすことがありますが、まさに「音環境」はそういうタイプのものです。 本書には、「吸音による聞こえ方の違い」などを体感的に理解できる複数の動画(QRコード)が付いていますので、ぜひ「音の世界」を体験してみてください。