あらすじ
19世紀のスイスではアルプスを中心に観光業が発達した。しかし、20世紀前半には世界大戦、世界恐慌、それに隣国の保護主義からの移動規制により、観光業は危機的状況に陥った。時代の変化に対応するべく観光業界は結集し、大衆化を軸に新たな観光形態を模索していく。混迷のなかにある観光業界に示唆を与える近現代史。 序章 第1節 大衆化をめぐる葛藤 (1)大衆批判と観光 (2)戦間期とマス・ツーリズム 第2節 スイスー近代から現代へ (1)日本におけるスイス史研究の展開 (2)近代から現代へ 第3節 スイス観光業の歴史ー研究動向 (1)近代ツーリズムとスイス (2)先行研究 (3)本書の課題と構成 第1章 「ベル・エポック」の終焉ー宿泊業界の危機感 第1節 スイスにおける近代ツーリズムの展開 第2節 スイス内国博覧会にみる宿泊業界の危機感 第3節 連邦政府による宿泊業界支援策 まとめ 第2章 スイスを宣伝するー観光振興組織の設立と再編 第1節 観光振興組織の設立構想とその背景 第2節 観光局設立をめぐる論議 第3節 戦間期の観光事務所の運営と再編 まとめ 第3章 観光業の結集ースイス観光連盟による危機への対応 第1節 戦間期における観光業の変容 第2節 ホテル協会の危機対応と観光連盟の設立 第3節 観光連盟の事業展開 まとめ 第4章 「安価なスイス」へようこそーホテルプラン協同組合による大衆化の試み 第1節 ミグロの事業展開から政界進出へ 第2節 ホテルプランの事業活動 第3節 ホテルプランと観光業界ー「安価なスイス」をめぐって (1)ホテルプランの経営状況 (2)「安価なスイス」をめぐる業界団体との確執 まとめ 第5章 「スイス的」な旅行団体の誕生ースイス旅行公庫協同組合と観光業界 第1節 社会事業としての観光ードゥットヴァイラーの余暇普及策と観光業界 第2節 エーレンシュペルガーの「労使間平和」構想 第3節 「スイス的」な旅行団体と観光業界の論理 まとめ 第6章 「準備の時代」-科学的観光論における戦後構想 第1節 スイスにおける観光論の形成 (1)「科学的観光論」の誕生ーフンツィカーとクラップ (2)観光論の制度化 第2節 レプケによる「自由な国際経済」と大衆化への展望 第3節 「ソーシャル・ツーリズム」をめぐる戦後構想 (1)戦時中のReka (2)観光論における「ソーシャル・ツーリズム」の形成 まとめ 終章 あとがき 初出一覧 史料・文献目録 人名索引 事項索引