戦時下の商船は、それまでの国内経済や海外貿易での輸送手段としての立場から一転して、戦争遂行のための輸送手段に、あるいは直接的な武装集団の一員として否応なしに戦争の担い手となってゆく。商船隊乗組員の戦死率四六パーセントは陸海軍将兵の戦死率をはるかに上回る。報われることなき航跡を辿る話題の戦記。